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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】
Chapter105 『風と共に』 105-224
(頭上に、力強く。 風を受ける、風車があった。)
(白い羽は、巨大で。 強く、雨の中で、風を捉えている。)
ゴオーン・・ ゴオーン・・
(降りしきる雨に、響く、風車の音。)
(強く、躍動する風のエネルギーが、そこにあったが。)
(足元で、くず折れる夏樹には、少しも触れることが出来なかった。)
(巨大なエネルギーを前に、力を失った自分は小さく。
消えるべき存在に思えた。)
「生きるべき人は、他に居た・・。」
「僕では、無かった。」
(夏樹は、膝を着き、震える、白い両手を見つめた。)
(雨粒が滴り、呼吸が荒くなる。)
(子供の頃を、過去を思う時。
初めて力を使った日のことを、遠い記憶の中で、
わずかに思い出した。)
(夏樹には、その時の、前後の記憶が無い。)
(記憶は、断片的で、想うだけで苦しく。
特別な力で封印されたその記憶は。)
(夏樹の心の、奥深くに眠っていた。)
(母を亡くした日に、何が起こったのか。)
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