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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter105 『風と共に』 105-227


(その街に、当時の、国の能力者開発施設があった。)

(無機質にそびえる、高い塀に囲まれる建物が、
牢獄の様だ。 その中に、能力を持つ可能性のある子供たちが、
夏樹が捕らわれていた。)

(かつて、粒樹が“時の欠片”となった瞬間。)

(隠されていたその施設は、姿を現し。)

(夏樹を探し求めていた母を、夏樹の元に導いた。)

(同時に、流れ星の様に、白い光に包まれた粒樹は、
その身体に“闇”を吸収し、夏樹に風の力を目覚めさせた。)

『あの日、何が起こったのか。』

『母を失った時、“闇”と僕の力が目覚めた時。』

『風を掴んだ時。』

『僕は、知らなければならない。』

(夏樹はそっと、耳から両手を離した。)

「僕が、能力者になった時のことを。」

(夏樹は、自分のことが分からずに、苦しんだ。)

(風を得たその瞬間が、きっと夏樹の人生を変えた。)

(やり直すことが出来たなら、自分は、どうしただろうか。)

『母を失いたくなかった。』



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