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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter105 『風と共に』 105-228


『父が、能力者でなければ・・。』

『青葉を失いたくなかった。』

『この街を、こんな風にしたくなかった。』

(もしもと願う想いが、込み上げてくる。)

「そうでなければ、聖と出会えなかった。」

「そうでなければ、FOTと出会えなかった。」

「そうでなければ、紫苑さんと、

ソラたちと出会えなかった。」

(過去を変えたい想いに、胸が潰れそうだった。)

(それなのに、それと同じくらいに。)

(夏樹は、出会いを求め。)

(風を求め、愛した。)

「ああ・・!」

「どうすれば、良い。」

「僕は・・!」

「それでも、風を愛している。」

(深い紺色の瞳から、涙が零れ落ちた。 強くなる雨音と、風車の音が、
広大な草原で、一人叫ぶ、夏樹の声を掻き消してくれた。)

「あああああ・・っ!」



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