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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】
Chapter105 『風と共に』 105-229
「どうして・・っ!」
(雨は、夏樹の服を濡らし、透き通るような透明の肌が、
青白く見えた。)
(幾度も地面に打ち付けた手が、土を掴み。)
(跳ね上がる雨水が、白い頬に、跡を付けた。)
チリン・・
(胸元に、細い鎖で繋がれた。
小さな銀色の、シンプルな美しい指輪が揺れた。)
(この世に“闇”が生まれ、夏樹の能力が目覚めた日。)
(夏樹を見つけ、保護した聖は、粒樹が残した、銀の指輪に、
橘の力で、強力な記憶の封印を施した。)
(指輪は、異世界エアリエル国から来た粒樹が、夏樹に託したものであり。
エアリエル国に伝わる。 王家の指輪だった。)
(指輪には、二つの樹が絡み合う、美しい紋章が刻まれていた。)
チリン・・
***
(遥か彼方、時の狭間で。
一人たたずむ少年が居た。)
チリン・・
(少年は、時折、夏樹の心に現れる、永遠だった。)
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