HOMENovel

Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter105 『風と共に』 105-23


(そこにはまだ、青葉からの、最後のメッセージが残されていた。)

「会おうって、約束してた。」

(音々の手は震え、喉の奥が乾いた。)

ドクンッ!

(夜が来ると、あの時の光景を思い出した。)

(青葉の、白いワンピースが、血に染まっていた。)

「どうして、あの子が、あんな目に合わなくちゃいけないんだよ!」

「どうして、あんなひどいっ!」

(音々は、震え。 両手で顔を覆った。)

「音々ちゃん・・・。」

(麗は驚き、音々の両肩を掴んだ。)

「あんただって、忘れたんでしょう・・。」

(FOTの橘の残した、特別な力が働き。 あの場に居た、麗の記憶も消し去っていた。)

(国の特殊部隊員を父に持つ、音々は、記憶保持を許されていた。)

「人の気も知らないで。」

「わたしのことなんて、誰もわかってくれない!」

(血に染まる、青葉を抱いていた男。 紺色の髪の能力者のことが、
忘れられなかった。)



『 次ページへ 』 『 前ページへ 』
このページのトップへ