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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter105 『風と共に』 105-232


(ソラは、嫌な予感がしていた。)

「早まるなよ・・っ!」

(街と、人々を愛する思い。 この街の光景を見れば。
夏樹が、心を決めてしまうのではないかと思った。)

(人々は、争い、傷つけ合い、戦いの中に身を置く。)

(何も出来ずに、見ているしかない。)

(ソラは、自身の、失敗した戴冠式の時のことを、思い出していた。)

「何も、出来ないのはつらい。」

「けど、変えて行けるんだ。」

(ソラは、雨と、足元の泥水を跳ねのけた。)

「はぁ・・っ。 変えて行ける・・!」

ガッ・・!

「! うわっ・・っ。」

キィィーンッ・・

(ソラは、雨雲の中に、夏樹の気配を追いかけ、上空を見ていた。
不意に現れた、足元の変化に気づかず、何かに躓きそうになり、
体勢を崩した。)

「え・・っ?」

(濡れた水色の前髪を掻き上げ。 足元に不意に現れた、
ふわふわの、黒い毛をした、柴犬の子犬を見た。)



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