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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter105 『風と共に』 105-237


『あの時の、声、笑顔。』

『失った全ては僕のせいだ。』

(夏樹は、自分の胸元を、抑えた。)

『風を、手にできないのならば。』

『もう、いっそ。 “鍵”を壊せばいい。』

『・・ほかに、方法はない。』

(焼けつく様な苦しみが、
絶え間なく、夏樹の胸の奥を焦がし。)

(その苦しみが、自分の受ける罰に思えた。)

(言葉には出来ない。

涙が、胸の熱に、枯れるのを感じた。)

ザワザワッ・・

***

(遠く、街の混乱を収めようと、奮闘していた晃は、
雨と、打ち付ける風に。 夏樹の苦しみを感じていた。)

「・・夏樹・・っ。」

『生きるのは、苦しいだろう。』

『まして、普通の人々の中だ。』

(晃は、夏樹のもとに、今すぐ、駆け寄りたかった。)



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