HOMENovel

Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter105 『風と共に』 105-238


(行って、抱き締めることが。 自分の役割に思えた。)

(聖を失い、本当の父親を失い。 晃は、夏樹をFOTメンバーの一人として、
大切に思うと同時に、誠司のように。 息子のようにも、愛しんでいた。)

「夏樹・・っ!」

(晃は、ソラと同じく、空間通路を駆け抜けた。)

***

【死ねよ。

それが、こいつのためだって】

【この学校の、この街の、

世界の望みだって、

わからねーのか?】

(心を閉ざし、俯く夏樹に、絶え間なく、“闇”が語り掛けるようだった。)

『・・みんな・・。』

(薄く開く、深い紺色の瞳が。
“闇”を映す。)

***

(それでも、どこからか、夏樹の心に。)

(語り掛ける、声があった。)

《光と同じく、闇がお前を導く。》



『 次ページへ 』 『 前ページへ 』
このページのトップへ