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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter105 『風と共に』 105-240


「う・・っ・・。」

(夏樹は、咽び泣きながら。 次第に、意識を。

“闇”から現実に、引き戻した。)

「う・・っ。」

(深い紺色の瞳から、伝う涙は。
熱く、夏樹の頬を流れ。)

(死んだように、冷たい、夏樹の身体に、熱を呼び覚まし。)

(苦しみと、熱が。 夏樹を現実に繋ぎ留める。)

『起きていれば、苦しみが包み込む。』

(後悔が夏樹を襲い、糸が身体を蝕むように、
全身と同じく、夏樹の心を傷つけた。)

「生きていれば、誰かを苦しめ。」

「人を不幸にし、僕の過ちが、大切な人から、

笑顔を奪う。」

『それでも、なお・・。

生きろというのか。』

(夏樹は、歯を食いしばった。)

『この命は、愛されているのか・・。

愛されて良いはずがない。』

『望んでは、いけなかった。』



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