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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter105 『風と共に』 105-242


(夏樹は、苦しさに。 言葉に出来なかった。)

『僕はもう、答えを知りたい。

終わりにしたい。』

(まるで、もう一人の自分に、心を支配されるようだ。)

(夏樹の心は、限界に達していた。)

(それでも同時に、本来の自分の中に眠る、
強い思いが、生まれ始めていた。)

(“闇”と向き合い、戦うには。)

(全てを乗り越えなければ、ならない。)

ザワザワザワッ・・

「・・っ。」

(菖蒲は、夏樹の心を見失わぬ様、僅かに見え始めた。
夏樹の、生気を、引き出そうと。 挑発した。)

「そんなに罪と向き合わねば、なりませんか?

それは、あなたの罪ですか?

悪なのは、あなたではない、“闇”ではありませんか。」

(菖蒲は、夏樹に、自分を取り戻して欲しくて、夏樹を抱える白手袋の手に力を込めた。)

「自分を、許せなくとも、構いません。

けれど、罪のない人など、居るでしょうか?」



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