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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter105 『風と共に』 105-244


(突然、菖蒲を振り払い、夏樹が立ち上がったので、
菖蒲は、驚き。 雨に打たれたまま、主人を見上げた。)

「菖蒲。」

「今すぐこの手で、取り出して、

終わらせることが出来るんだ。」

「僕を守る必要が無くなれば、FOTももっと、

街の人々を守れる。」

『守られるべきは、僕ではない。』

『罪を犯した、僕では。』

(夏樹は、自身への怒りで満ちていた。)

(それでも、夏樹は、怒りに任せ、立ち上がった。)

(深い紺色の瞳は、苦しみながらも。)

(菖蒲を、見た。)

「僕さえ、居なければ、もっとたくさんの人を救えるんだ。」

「あの時、子供の頃。 聖が僕を助け、

今日まで、生かしたことは。」

「間違っていなかったと言えるか、菖蒲。」

(紺色の瞳は、煌めきながら、菖蒲を睨んだ。)

「この街をこんな風に壊し、人々を苦しめ。」



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