HOMENovel

Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter105 『風と共に』 105-248


「きっと、迷っているから。

風は、僕に、応えてくれないんだ。」

(答えが出ても、実行に移せるか、分からなかった。)

(それでも、夏樹は。 生きると決めた。)

「一度、受け止めてみることです。

全てのことを。

そして、どうするか。」

「受け止め切れない時は、私が共に受け止めます。」

(菖蒲が告げた。 二人は、強い雨が降り続く。 風の丘に立っていた。)

(風が吹き抜け、雨の雫を舞い上げる。)

(夜を迎えようとしていたが、不思議と、二人の心は、
澄んでいた。)

(雨が、吹き抜ける風が、二人の迷いを振り払う。)

(二人は、強い瞳で、互いを見た。)

「やはり、この様な中で、明るい未来を信じることは、難しいことだと思います。」

「暗く、悲しいことばかり、浮かぶのは当然です。」

「夏樹様。

私たちは、そういう、難しいことをしようとしています。」

「だから、結果は問題ではないと、私は思います。」



『 次ページへ 』 『 前ページへ 』
このページのトップへ