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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter105 『風と共に』 105-249


(夏樹は、深い紺色の瞳を向けた。)

「菖蒲。」

(夜が、二人を隠そうとしていたが。
それでも、互いを見つめ、行く先を見出した。)

「信じて、行うことが大事ではないかと。

私は思います。」

(菖蒲の言葉に、夏樹はうなずいた。)

『街の人々に、受け止めてもらえるか。』

『“闇”は無くせるか。』

『その時、僕は生きているか。』

(夏樹は、夜に包まれる、戦いへ向かう街を、
風の丘から見下ろしながら。)

(自身に、言い聞かせた。)

『青葉の命を奪った。』

『罪を償えるか。』

(深い紺色の瞳は、静かに、瞬き、
自身に問いかけた。)

『到底、出来ないことを目の前に、

信じることに意味があった。』



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