HOMENovel

Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter105 『風と共に』 105-255


「クラスの皆も。」

「風見市も。」

「FOTのことさえも。」

(夏樹は、自分がどれだけのものを得ていたのか、
そして、どれ程大切なものを失ったのか。)

(青葉への想いと共に。 FOTに与えてしまった傷を思い。)

(晃に、深く、謝罪した。)

「僕が、ここに居ることを、望んだからなんだ。」

(ソラは、隣に立ち。 即座に言葉を続けた。)

「俺たちは、一人で立ち向かえば、弱く、脆く。」

「壊れやすい。」

「だから、友が居るんだ。」

(ソラは、雨の降る、夕闇の中で。 水色の瞳で微笑んだ。)

「きゅ〜ん・・」

(その時、ソラの胸元で。 おとなしくしていた子犬が、動き始めた。)

「?」

(暗がりの中で、気づかなかったが。 ソラの胸元、上着の中が、膨らんでいる。)

(夏樹ははっとし、鳴き声がした辺りを見つめた。)

「・・子犬?」



『 次ページへ 』 『 前ページへ 』
このページのトップへ