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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter105 『風と共に』 105-257


(夏樹は、頭上を見た。)

(雨を切る、風力発電の白い大きな羽が。 ライトアップされ、
強く。 回っていた。)

(夏樹は、まだ、風を掴めない。)

(それでも、風を受ける風車を見上げる、夏樹の心は、
変化していた。)

ゴオーン・・ ゴオーン・・

(雨を弾き、夜に光る、巨大な白い羽。)

(もう一度、その風を掴む。)

(苦しみは、癒えないが。)

(夏樹の心は、決まった。)

「ああ。」

(深い紺色の瞳は、雨を受け。 風車からの明かりを、
眩しく見た。)

(強く躍動する、風のエネルギーを。 思いのまま、
自由に、操って来た。)

(そんなこれまでと、同じように、風に触れることは、
夏樹には、もう出来ない。)

(もう一度。)

(これまでとは別の、方法で。
風を掴む必要がある。)



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