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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter105 『風と共に』 105-262


(深い、紺色の瞳は、強く決意に燃えた。)

『まだ、“闇”は消えていない。』

『僕は、望んだ僕に成れたのか?』

『違う。』

『風を、探しに行く。』

『記憶を辿る。

この封印を、解きに。』

(夏樹は、深い紺色の瞳で、街を見つめた。)

(血の通わぬ、真っ白な手で。 胸元の、小さな銀の指輪を掴む。)

(瞳は、真っ直ぐに、前を見ていた。)

***

(snow dropは、暖かな明かりに包まれ。)

(キッチンから立ち上る湯気と、手作り料理の美味しい香りに、
いつもの夕食の時間を思わせた。)

「まだ、戻らないね?」

(夕飯の準備は、整った。 紫苑は、気がかりに、雨が打つ、窓を見つめた。)

「はぁ。 大丈夫、もう直戻るわ・・。」

(千波は、シンクの水滴を、布巾で拭きながら。)

(美味しい料理が入った鍋と、テーブルに並んだ、皿を眺めた。)



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