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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter105 『風と共に』 105-270


(ほんのりと化粧し、紅潮する頬に、睫毛に、
雨の雫が落ちる。)

(昔と変わり、ふわりとカールした、両脇の髪が頬にかかり。
雨粒を受ける様子に。)

(昔よりもずっと、可愛らしい服に身を包む様子に。)

(涼の胸は、焦がれた。)

「音々が言ってた、女の子みたいに、」

「もし、お前がなったらって・・。」

(紫苑を変えたのは、もっと魅力的にしたのは、
夏樹への想いだった。)

「青葉って子は、あいつのこと好きになって、捨てられたんだろ。

あいつに利用されて、殺されたんだ!」

(夏樹やFOTは、悪者。 そう思いたかった。)

(間近で夏樹を見て、涼は。 世間の言葉と、真実が異なり、
夏樹が悪人とは、思えなくなっていた。)

(それでも、ニュースや噂の方を、信じていたかった。)

「あいつは、お前のことも利用してる。

あいつは、危険だ!」

「分かるだろ!!」

(でなければ、自分は負け。 紫苑は二度と、戻らないからだ。)



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