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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】
Chapter105 『風と共に』 105-271
「ごめんなさい。 涼くん。」
(紫苑は、涙を浮かべ。 涼に告げると。)
(桜模様の傘を揺らし、涼の傍を離れた。)
タッ・・
パシャンッ・・
「・・・っ。」
「くそっ。」
(涼は、絶望的な思いで、紫苑を見送った。)
(雨は、降り続いている。)
(それなのに、紫苑の瞳は、迷い無く輝いていた。)
ザーッ・・
(涼に、勝ち目はないように思えた。)
(涼の胸は、強く傷んだ。)
「何でだよ・・。」
(紫苑は、涼と離れ。 桜ヶ丘の入口へ。 雨の中、
両脇に続く、桜並木の間に。 照らされる、街灯の向こう。)
(FOTの空間通路が開く先を。 夏樹の帰りを待ち、見つめた。)
バシャンッ・・!
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