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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter105 『風と共に』 105-272


(涼は、自分に苛立ち、水溜まりを蹴った。)

「あいつにとって俺は、ただの幼馴染でしかないんだ。」

『俺にとって、あいつは・・。

いつの間にか、俺の中で一番大事で、』

『でっかい場所を占めてた。』

『けど、俺がどんなに想おうと、

俺は、あいつの人生の中に、何の変化ももたらさなかった。』

(涼は、自分の想いに、絶望した。)

『あいつの人生の中で、俺は、

ちっぽけなもんだった。』

『うまく言えなくて、気持ちだけでかくなって。』

「雨宮が来て気づいたって、遅かったんだ。」

「くそっ・・。」

(涼に謝り、夏樹のもとへ、向かうと決めた紫苑の表情は。)

(雨に濡れる、紫苑の髪も、涙に滲む瞳も。 ピンク色の頬も。)

(二度と、涼が触れることは出来ないのに。 忘れられない程に。)

(美しく輝いて見え。 涼の胸は熱く震え。 涙した。)

「くそっ・・。」



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