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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter105 『風と共に』 105-273


「どんなに想ったって、届きやしない。」

「俺の存在なんて、あいつの人生に何の影響も与えやしないんだ。」

「俺なんか、くだらねぇ。」

「雨宮に比べたら。」

「居なくたって同じだ。」

(涼は、傘を取り落とし。 両手で顔を覆った。)

ザーッ

(桜ヶ丘の入口では、紫苑のもとに、夏樹を心配した佐織と駆も駆け付けた。)

(様子を見て、佐織は紫苑に頷き。 駆を残し、
涼のもとへ、向かった。)

「涼。」

「紫苑のこと、心配して見に来てくれたんでしょ。」

(佐織の声に、涼はびくりと体を動かした。)

(佐織は、片手で、地面に落ちた涼の青い傘を拾い上げた。)

(開いたまま、逆さになった涼の青い傘には、雨が溜まり始めていた。)

「ばか・・!

何言ってんのよ。」

「紫苑に、出会えただけでありがたいと思いなさいよ。

好きなんでしょ?」



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