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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】
Chapter105 『風と共に』 105-274
(佐織は、乱暴に、涼に拾った傘を手渡した。)
「はっ・・!
うっせー・・!」
(涼は、背の高い佐織に向かい。 怒りを表し、食って掛かった。)
(佐織は、ひるまず。 真剣な瞳で、涼を見た。)
ザーッ
(雨は、強く。 睨むように見つめる、佐織の瞳に。 長いポニーテールに、
雨粒を零した。)
(凛とした佐織の瞳に射貫かれ。 涼の想いが、溢れ出した。)
「好きだ・・。
好きだ、ばかやろー・・!」
(涼は、いつの間にか、泣き出し。 佐織の前で、
筋肉質の腕で、自身の顔に流れる涙を拭った。)
「なんで、雨宮なんか好きになってんだよ。
幸せになれるわけ、ねーだろ。
俺にしとけよ・・。
くそっ。
何で、言えなかったんだ。」
(人目を気にせず、涙する。 涼の肩を。 佐織は、雨に濡れた手で、
励ますように抱いた。)
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