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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】
Chapter105 『風と共に』 105-277
「紫苑さん・・。」
(紫苑は、雨の中。 snow dropの明かりを背に、
夏樹の帰りを待ち。 立っていた。)
(遠く、その姿を見た時。)
(夏樹の目に、思わず涙が溢れた。)
「一瞬でも。」
「自分の命を捨てようとしたなんて。」
「なんて、ばかなことを。」
(深い紺色の瞳から、涙が零れ、夏樹は、雨に濡れる頬を、
両手で拭った。)
「うっ・・。」
「・・くっ。」
(一瞬でも、自分の決意が揺らいだことを、後悔し、思い知った。)
(もし決断すれば、ここに帰ることは、二度と無い。)
「ごめん。」
(夏樹は、白い両手で、顔を覆い。 雨粒と涙をぬぐった。)
「・・はぁっ。」
(それでも、涙は、止めどなく流れた。)
(晃はそっと、夏樹の肩を叩いた。)
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