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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter105 『風と共に』 105-280


(夏樹の胸は、焦がれ。)

(涙を止めることは、出来なかった。)

ザーッ・・

(雨は、降り続いている。)

(冷たい雨が、深い紺色の髪を。 瞳を滲ませる。)

(それでも、熱い思いが湧き上がり。 冷たい夏樹の身体の奥で。
その心は、熱を帯びた。)

「お帰りなさいませ。」

「夏樹様。」

(snow dropを背に、駆け寄って来る紫苑を見て。 菖蒲は、嬉しそうに、
夏樹に声をかけた。)

「菖蒲。」

「・・・っ。」

「・・・くっ。」

「う・・っ。」

(夏樹は、堪えられず、涙をこぼした。)

タッ パシャンッ・・

「はぁっ。」

「夏樹くん・・!」



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