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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter105 『風と共に』 105-283


(桜柄の可愛らしい傘を、夏樹に掲げる、そのしなやかな手も。)

(優しさに満ち。 美しかった。)

「ああ!」

「行こうぜ、夏樹・・!」

(ソラは、夏樹と紫苑の二人が共に居ることで。 生まれる輝きに。
目を細め。 力を込め。 夏樹の背中を押した。)

「風呂が、苦手だって、知ってるけどさ。」

(ソラは、夏樹をからかい。 自分の、水色の髪を叩き。 雨水を零した。)

ガチャッ

「お帰りなさい・・!」

「みんな!」

(玄関ドアが開き。 snow dropの中から、多くの人が、顔を出した。)

「千波ちゃん。」

(千波は、夏樹に駆け寄り、濡れた夏樹の身体を、強く抱き締めた。)

「お帰り、夏樹。」

「こぉら。 こんなに濡れて!」

(千波は、わざと怒った様子を見せて。 雨粒を弾く、
夏樹の深い紺色の髪を撫でた。)

「ごめん。」



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