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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter105 『風と共に』 105-293


(夏樹は、目の前に並ぶ、美味しそうな、数々の料理と。
温かな湯気の中。 ただ、椅子に座りながら。 視線を下に落とした。)

「ありがとう・・。」

(胸がいっぱいで、それ以上何も言えない。)

(箸を手にしたが、とても食べられそうになかった。)

「夏樹。」

(ソラが励ます様に、隣に腰掛けた。)

(温かな、皆に包まれる。 夏樹の深い紺色の瞳には、涙が溜まっていた。)

『用意してくれた食事は、

自分たちを勇気付けるものであり、

元気付け、癒すものであり、

戦いを労い、戦いに向かうためのものだった。』

(料理を見つめる、深い紺色の瞳から。 涙が零れた。)

「・・・っ。」

(ソラは、励まし。 夏樹の細い肩を叩いた。)

「食えよ。」

「先は長い。

今から、張り詰めてたら、身が持たないぜ。」



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