HOMENovel

Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter105 『風と共に』 105-295


『僕は、まだ。 ここに居る。』

***

(ベランダの窓から、心地良い夜風が、リビングに立ち込めた。)

(お腹がいっぱいになり、人々は束の間。 憩いの時を得る。)

「橘さんの力は、もう働いていない。」

「ここからは、もう。

能力者の存在を、隠すことが出来ません。」

(菖蒲は、温かなお茶を、皆に配りながら。 この先のことを案じた。)

(誠司は、菖蒲に感謝し。 お茶を受け取り、皆と、食後のひと時、
リビングに集った。)

「結界も無い。

記憶操作さえも出来ない。」

「私達の前で、人々は。

世界は、無防備です。」

(誠司は、未来を憂いながら、桜がブレンドしてくれた、ハーブティーの香りと、
琥珀色の色彩に、目を細めた。)

(人々の輪の中に、晃は通信機器を置き。
FOTのメンバーも、駆や佐織たちも、離れた場所から通話し、輪に加わっていた。)

「俺たちの方だけ、情報がばらされ。」



『 次ページへ 』 『 前ページへ 』
このページのトップへ