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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter105 『風と共に』 105-298


(夏樹の閉じた睫毛には、まだ涙の跡が光っていた。)

キイッ パタン・・

(紫苑は、そっとドアを閉じ。 部屋を後にすると。
明かりの灯る、リビングへ。 皆の声のする方へ、階段を下った。)

***

チーッ ピチチチッ チチッ

(二階の窓の、カーテンの隙間から、朝日が差し込む。)

「ん・・。」

(揺れる日差しと、窓の外の、小鳥の声に。)

(夏樹は、まどろみ、目を覚ました。)

「・・ふぅ・・。」

(夏樹は、横になったまま、窓の方を見上げた。)

(まだ朝早く、明けたばかりの空は。 ほのかに色付き。
新しい日が始まったことを告げていた。)

「・・・。」

(白い肌の手の甲を、額に当てる。 相変わらず体温は低いままだが。
身体は昨日より回復していた。)

「きゅん」

(夏樹の腕が動いたことで、ぽんたが横で目を覚ました。)

「起こした?」



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