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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter105 『風と共に』 105-302


(夏樹が目覚めたことに気付いた菖蒲は。 静かに、後に付いて来ていた。)

「菖蒲。」

(風車の下に立つ、夏樹は、小さな存在に見えた。)

(それでも、朝日を受けて立つ。 深い紺色の瞳が、
菖蒲を見た時。)

(菖蒲は、以前の様に。 いや、以前よりも。 主人が、風と共に在るのを見た。)

『夏樹様・・。』

「あなたが、一瞬で。

全ての大切なものを、壊したと言うのなら。」

「それが、過ちだったと。

赦されない罪だと、思うのならば。」

「その罪を、忘れないで下さい。」

(菖蒲は、主人が再び。 近い未来、風を取り戻し。
戦場に身を置くことを。 知った。)

「失敗したならば、罪に思うならば、

立ち上がって下さい。」

「命ある限り、幾度でも。」

「やり直して下さい。

生きて、取り戻して下さい。」



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