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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter105 『風と共に』 105-36


『この世に居なければ良かったと。』

『この世からすべてを消したくなる。』

(リザは、警告していた。)

(紫苑が夏樹を愛せば、呪いは強くなる。)

「いいえ。」

「わたしは負けないわ。」

(紫苑は、顔を上げた。 両脇の頬に、段違いにカットされた髪が、
軽やかに掛かり。 紅潮する頬を覆った。)

コッ・・

(室内で、ソラは、目の前の“時の欠片”に手を触れた。)

「もしも、再び“闇化”が起こったならば。」

「俺たちが居る。」

『“時の欠片”には、人の寿命を延ばす力がある。』

『浄化された“時の欠片”は、取り出した人々に戻す。』

『それが、“時の欠片”自身である。 粒樹の願いだと思う。』

(ソラは、思いを巡らせながら。)

(その手の輝きを見つめ。)

(夏樹を救うことを願い。 前を見た。)

キンッ・・



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