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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter105 『風と共に』 105-4


「ほぅ・・。」

(沙羅は微笑み、瞬く夏樹に近づいた。)

「・・っ。」

(夏樹は、眩いエネルギーを発する沙羅を見つめ、
二人は、大きな、一本の緑豊かな樹の下で並んだ。)

「具合はどうだ?」

「そなたのことは、聖から聞いておる。」

「辛かったな。」

(夏樹は、初めて会った、沙羅の言葉に驚き、
瞳を開いた。)

(まるで、昔からの家族であったかのように、
沙羅は夏樹に寄り添い。 沙羅の言葉は、
夏樹の心を動かした。)

「僕は、何も出来なかった。」

(深い、紺色の瞳は、潤んだ。)

「そんなことはない。」

「彼女は、天命を全うしたのだ。」

「最後まで、彼女であり続けた。」

「そなたのおかげであろう。」

(沙羅は美しく、しなやかな手で。 夏樹の背中を支えた。)



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