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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter105 『風と共に』 105-54


(音々は、教室中に、そして廊下の先まで響く声で、叫んだ。)

「綺麗ごとにして、済ませないで。」

「青葉は痛かったんだよ。」

「苦しくて泣いたの。」

「青葉には、未来があったんだよ。」

「もっと生きたかったの。」

「友達と楽しく遊びたかった。」

「恋だってしたかった。」

(音々の言葉は、悲痛で。 クラスメイトの心を打った。)

(涼は、信じられずに聞いていたが、音々の様子は、とても、
嘘を言っているようには、見えなかった。)

「・・っ。」

(紫苑は、夏樹の背に触れ。 泣いていた。)

「紫苑・・?」

(涼は、信じられない面持ちで、目を見開いた。 何があったのかは、分からない。
だが、紫苑が泣いていた。)

(涼の夏樹への怒りは、爆発していた。)

(だが、夏樹は、表情を変えず。 音々の前に立っていた。)

(涼は、真実を見極めようと。 二人を見つめ続けた。)



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