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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter105 『風と共に』 105-59


「お願いね。」

(音々と、クラスメイトが去っても。)

(夏樹は、涙を止めることが、出来なかった。)

(深い紺色の瞳から、絶えず、涙が零れ続けた。)

***

(勝は、自宅にこもり、原稿と向き合っていた。)

(勝が託された情報は、石垣の政治の闇を暴くものだった。)

(不正に使用された国税。 私利私欲のために、隠していた“時の欠片”の存在。)

(そして、利用された、国家機密組織。)

(先代から引き継がれた、巨大なプロジェクトは。
人々から隠されている。)

「(ふぅ〜・・)」

(勝は、昼なお暗い、散らかったアパートの一室。
積みあがる資料の中で。 黒く汚れた武骨な手で。 ペンを握っていた。)

「“闇”の存在は、明かされるべきか。」

「“国家機密組織 FOT”」

「“能力者”の存在。」

(勝は鋭い目で、現像された写真を見つめた。)

「撮れたのは、これだけか。」



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