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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter105 『風と共に』 105-61


カッ

「俺は、抵抗してやるよ。」

(勝は、原稿を手に。 机上に掲げた、フォトフレームに目をやった。)

「咲。」

「隠され続けた。」

「“闇”と戦う人々の姿を。」

「・・俺も。」

「誠司と出会わなければ、能力者に偏見を持って居ただろう。」

「咲。 お前を殺した、能力者たちに。」

(フォトフレームには、青空の下。 眩い笑顔を見せる、
勝の妻、咲の笑顔があった。)

「命を危険にさらし、人知れず、

街を守ってくれている人たちがいる。」

(勝は、写真と資料を鞄に詰め。 新しいカメラを手に取った。)

(その手には、フォトフレームの中の、咲の手に輝くのと同じ、
指輪が嵌められていた。)

「人々は、脅威にさらされている。」

「“闇”が迫っていることも、知らされずにな。」

「あの少年の、姿を捉えたい。」



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