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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter105 『風と共に』 105-63


(新しい国造りの為に。 正義の為に、
燃える使命感の他に。 勝を動かすものがあった。)

「この熱には、抗えそうもねー。」

(“闇”の力。 一人の少年の背負う運命。 夏樹の存在は、
勝の、探求心に火を点けた。)

「さぁて、行くかね。」

(指輪の光る、黒ずみ荒れた、武骨な手が。 カメラに触れた。)

(勝は、FOTを。 夏樹の痕跡を。)

(追い求めた。)

***

ガッ ガララッ

(街角に、黒い車が停まり。 降り立った、明るいスーツに身を包んだ男が、
崩れた外壁を。 革靴で蹴り飛ばした。)

「こいつは、若い連中の仕業じゃねーな。」

「白竜。 氷置に連絡だ。」

「規制線を張らせろ。」

(明るいスーツの男が、サングラス越しに。 後ろに控えていた、
大柄の男。 白竜に向かい、ニヤリと笑った。)

「はい、翼様。」

(逞しい筋肉を持つ、白竜が。 恭しく、主である翼にお辞儀した。)



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