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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter105 『風と共に』 105-72


「放っておけ。」

「奴は、特別だ。」

(氷置は、白手袋の手で、眼鏡を押さえた。)

(須藤は、カメラを掲げる男が、何者か分かると。 氷置の言葉に、
納得した。)

「ああ・・。 あれは、オカルト雑誌『境界』の・・。」

「確かに。 取るに足らない。」

(須藤は勝から注意を背け、人々の退去を促した。)

(氷置は、ニヤリと笑った。 勝は、現首相、石垣に敵対する勢力。 滝川が、
FOTに近づくことを許した、人物だった。)

「直に、他のマスコミも嗅ぎ付ける。」

(人波を整理しながら、氷置は鋭く目を細めた。)

「一人くらい。 真実を追う奴が、味方に必要だ。」

(須藤は、人々を誘導し。 僅かに聞こえた氷置の言葉に、
振り返った。)

「え?」

(氷置は、顎で須藤に指示し。 警戒しろと目で伝えた。)

「来るぞ。」

(規制は、能力者に対して行うと思えば、緩いものだった。
敵は、これまで隠してきた事実を、暴き出そうとしていた。)



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