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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter105 『風と共に』 105-77


ガッ・・!

(夏樹は、風に呼び掛けた。 だが、風は一切、
夏樹に応えなかった。)

「美菜!」

(そこに居るのは、クラスメイトだと分かった。)

(夏樹は、風に必死に呼び掛けた。 だが、獣を留めることは出来ず、
次の瞬間、毛に覆われた、巨大な爪を持つ手が、美菜に振り下ろされた。)

ビシャッ・・!

「!」

(夏樹は戦慄した。 深い紺色の瞳に、血飛沫が舞う。)

(透き通る肌は、蒼白に。 冷たく凍り付く。)

ドッ・・

(風を操ることが出来ない、夏樹は。 美菜に届かず。
地面に倒れ込み、白い手は、土を掴んだ。)

ガッ

「夏樹! 無茶だ。」

(空間通路を繋ぎ、舞い降りた晃が。
夏樹の肩を掴んだ。)

ビシュシュシュッ・・!

(瞬時に水の壁が包み込み。 辺りから切り離した。)



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