HOMENovel

Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter105 『風と共に』 105-81


(握り締めた、夏樹の手は、白く冷たく。)

(薄く開いた深い紺色の瞳が。 自分自身を見つめた。)

『敵は、去っていない。』

『胸の時の欠片、“鍵”は、まだ僕を生かしている。』

(それでも、その手は、冷たく。 血が通っている様には、見えなかった。)

『偽りだ。』

『偽りの力が、僕を生かしている。』

『人間に成ったのではない。』

『僕は、僕のまま。』

『風を、手放したのだ。』

(夏樹は苦しんでいた。)

(人間に成ること。 “闇”を無くすこと。 それは夏樹の大きな夢だった。)

『本当に、全てを解決するためには、

全ての“時の欠片”を“闇化”させ、

“浄化”する必要がある。』

(それは、聖の考えと同じであり。 FOTがこれまで、
行って来たことが、正しいと言うことだった。)

(だが、それは、夏樹には受け入れがたい。)

『風の力に乗り。 僕の中に眠る、時の欠片“鍵”が、人々を“闇化”させる。』



『 次ページへ 』 『 前ページへ 』
このページのトップへ