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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter105 『風と共に』 105-88


(音々の指先が、発するメッセージが。)

(小さく動く、唇の語る、怒りの言葉が。)

(ネットを通じ、拡散され。)

(生徒たちの元に届いていた。)

(メッセージを受けた者たちは、音々を通し。
善の魔力に触れ。 同じ様に感情を操られて行く。)

「雨宮 夏樹・・!」

(音々は、吐き捨て。 さらなるメッセージの送信ボタンを押した。)

「あたしは、あんたを許さない。」

「絶対に・・!」

(カラフルな色彩に包まれる服に、対照的な短い黒髪が。
頬に揺れる。)

(音々の黒い瞳は、魔力を秘め。 奥深く、赤く煌めいた。)

ダッ・・!

(走り去る音々の後姿を。 北通りの路地裏から、翼が見つめていた。)

(翼は、規制線を前に。 崩れた外壁の残骸を、踏み砕いた。)

「隠しきれない力か・・。」

「直に、明るみに出る。」

(明るいスーツの背中が、規制線に背を向けた。
街に上り始める日差しに、短く跳ねる翼の白い髪が、光った。)



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