HOMENovel

Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter105 『風と共に』 105-9


「何もしないでいたくないんだ。」

「戦えなければ、何も出来ないことは分かっている。」

「今すぐ。 この戦いを終わらせることが出来ることも。」

「それでも。」

「探してみたい。」

(深い紺色の瞳は、最後の選択を見据えながら、残る可能性を探ろうと。
諦めていなかった。)

「残された時間で、僕は答えを見つけたい。」

(決意する、紺色の瞳は滲んでいた。)

(沙羅は頷き。 冷たい夏樹の身体を抱いた。)

「人の生きる道筋は、楽しきものじゃ。」

「苦しみもあろう。」

「じゃが、愛しきものじゃ。」

(沙羅は陶器の様に美しい肌の頬を、夏樹の白く冷たい頬に寄せた。)

『与えられた時は、一年程であろう。』

(沙羅は、愛情を込め、夏樹を抱き締めた。)

「如何なることが待ち受けていようとも。」

「今を生きよ。」



『 次ページへ 』 『 前ページへ 』
このページのトップへ