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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter105 『風と共に』 105-90


「・・・っ。」

「お前・・。」

(紺色の瞳が、ソラの水色の瞳を見つめる。 少しの心の揺らぎも無かった。)

「お前、どうしてそんなに。」

『頑固で・・っ!』

『分からず屋なんだよ・・っ!』

「くそっ・・! 聖に似やがって。」

(ソラは、思わず、夏樹の肩を離し。 両手で、水色の髪の頭を抱えた。)

「・・ふっ。 ふっ。」

(夏樹は、力なく笑い。 紺色の瞳を揺らした。)

「悪かったな。 分からず屋で。」

「ありがとう。 ソラ。」

(深い紺色の瞳は、僅かに滲んでいた。)

「少しも、無駄にしたくないんだ。」

「ここに、居られる時間を。」

(夏樹の、透き通る肌は蒼白で。 血が通っていない様だった。)

(夏樹は、ソラを安心させようと。 微かに、微笑んで見せた。)

「ソラ。」



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