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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】
Chapter105 『風と共に』 105-91
「僕は、受けるべき罰を受ける。」
「皆に、隠してきたことは、事実だから。」
(制服に身を包む夏樹の細い肩は、事実を受け止めるには、
頼りなく、ソラには見えた。)
(人間社会が、真実を。 FOTや夏樹の存在を。
簡単に受け入れてくれるとは、思えなかった。)
(それでも構わないと。 深い紺色の瞳は告げていた。)
(それでも、ここに居られることを。)
(風見市に。 桜ヶ丘に。 皆が居るこの場所に。
居ることを望んでいた。)
「紫苑さん。 菖蒲。」
(夏樹は、桜ヶ丘に建つ白いアパートsnow dropを背に、
皆を見守り立つ、菖蒲に振り向いた。)
(夏の暑さから、僅かに秋へと向かう。 爽やかさを感じる、
風が。 立ち並ぶ、緑の桜並木を揺らしている。)
(夏樹は、頬に風を感じながら。)
(何も出来ない自分の存在を。 受け止めようとしていた。)
「本当に、ごめん。」
(受け止めきれない想いが、夏樹の中にあった。)
(菖蒲は、いつものように、整う燕尾服に身を包み。
黒い四角い縁の眼鏡、流れる黒髪の奥で。 微笑んだ。)
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