HOMENovel
Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】
Chapter105 『風と共に』 105-96
(胸元に、細い銀の鎖。 指輪が冷たく。)
(透き通る肌の上で。 光った。)
***
(第二国の全国に、そのニュースは流れた。)
「ニュースをお伝えします。」
「昨夜、風見市、北通りの路上で。
男女数名が相次いで負傷、何者かに襲われる事件が発生しました。
警察は、特別捜査本部を設置し、犯人と思われる逃走した人物を追っています。」
(ニュースキャスターは、深刻な面持ちで。 淡々とニュースを読み上げた。)
「現場は風見駅から200メートルの繁華街で、近くには住宅街があり、
不安が広がっています。」
(事件を知り、早朝。 風見市庁舎へ、出向いた誠司は。
新聞に、目にするテレビの番組から聞こえてくるニュースに、
顔をしかめた。)
「報道管制が解かれた。」
「FOTが関わる事件が、ニュースになっている。」
(それは、聖が、風見市から。 第二国から去ったことを意味しており、
この街が、この国が。 唯一、FOTの屋敷を残し。 もう結界に守られていないことを、
意味していた。)
「結界の守りも。 橘さんの、記憶の制御ももう無い。」
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