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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter105 『風と共に』 105-97


「FOTを、夏樹君を。」

「守らなければ。」

(誠司は、困難を予感した。
この国を変えようとしている、政治家、滝川と。
能力者が共存する、開かれた社会を創りたいと考える、誠司は。)

(同じ目的を持っていた。 だが、現首相、石垣を利用しようとする滝川の、
犠牲をも厭わない姿勢に、誠司は賛成出来ずにいた。)

『隠すことは、出来ないと。』

『明らかにすることが、正しいと。』

『分かっては居る。』

(誠司は堪えながら、手元の資料を慌ただしくまとめた。)

「だが、この方法では、不安をあおり、傷つけるだけだ。」

(誠司は、傍らに控える、秘書の三笠に指示を出し。
自身も会議室へ向かい、歩き出した。)

「国が、どこまで、明らかにして来るか。」

(誠司は立ち止まり、青いスーツの胸元に留められた、
FOTから、聖から友として譲り受けた、Friendと刻まれたピンバッジに
指先で触れ。)

(バッジの、FOTの紋章である赤い片羽根と、Friendの文字を、
強く掴んだ。)

『聖さん。』



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