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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】
Chapter105 『風と共に』 105-98
『この国に。』
『夏樹くんに、力を貸して下さい。』
(誠司は、国の動向を見据え、自らも、市長として市民に、
情報を発信しなければならないと考えていた。)
(これまで語ることの許されなかった事実を。)
(国が隠し通して来た、国家機密組織の存在。)
(風見市でなければならない理由。)
(存在してはいけない、一人の少年に眠る、強大な力。)
「何もかも、信じられないことでしょう。」
(誠司は再び歩き出し、後に付く、三笠に。 振り向き微笑んだ。)
「三笠さん。 思い出しますね。」
「初めて、あなたが、能力者の存在を知った時のことを。」
(小柄な初老の三笠の頬が、皺を寄せ、笑った。)
「市長。 私も、あの時のままの、私ではありませんよ。」
「今日まで、市長と共に、歩んで来たのですからな。」
(三笠は、資料を抱え、自慢げに咳払いして見せた。)
「機密保持者の一人ですからね。」
(三笠の胸元には、赤い片羽根に、Secrecyの文字が刻まれている
FOTから譲り受けたピンバッジが光っていた。)
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