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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter11 『白い鳥』 11-1


「・・むすっ。」

(夏樹は、完全に不機嫌だった。)

(菖蒲が買ってきてくれた、紅茶の紙コップを両手で持ち。
睨むような目で見た。)

「・・、すみません・・。 夏樹様。」

「私の不注意です・・。」

「追いかける事に夢中で、つい。」

(夏樹の視線に耐えられず、菖蒲が謝った。)

「・・良いよ。 気配は弱まったみたいだ。」

「もしかしたら、またここへ来るかもしれない。

これから他の場所を回って・・。

夕方ごろ、来てみようか。」

(菖蒲が気落ちしている様なので、夏樹は許すことにした。)

「本当に、すみません・・。」

(公園のベンチに座る夏樹に向き合い。
背の高い菖蒲は、うな垂れて立っていた。)

「(こくっ・・。)」

(温かい紅茶を口に運び、夏樹は、すまなそうに自分を見下ろす菖蒲を見た。)

「・・菖蒲。 悪かったのは僕だ。 先に言っておけば良かった。」



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