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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter11 『白い鳥』 11-2


「え?」

(菖蒲は顔を上げた。)

(コップを持つ手の向こうで、夏樹は微笑んだ。)

「菖蒲と、外を歩く時、その格好だと目立つからな。」

「あんまり注目されたくないから、少し離れて歩きたかったんだよ。」

「・・はい?」

(菖蒲は、面食らった。)

「・・だからわざと、早足で歩いたんですか?」

「うん。」

「出来るだけ、離れたくて。」

『“闇”の気配を感じたからでもあるんだけど・・。』

(笑みの混じった声に、菖蒲は怒った。)

「夏樹様っ!」

「この格好は、仕事着です。」

「目立つために着ているわけでは・・。」

「それに、夏樹様の方が目立っていたじゃありませんか。」

「あんなに人に囲まれていたのに。 気にしないご様子で。

私は心配だったんです。」



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