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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter11 『白い鳥』 11-9


(振り返ると、白衣を着た若い女性がいた。)

「うむ? 誰じゃったかな。」

「艶さんっ、真紀ですよ。 何度かお会いしてるじゃありませんかっ。」

(真紀は、若く。 研究者というより、花屋やパン屋で働いている女性の様に、
愛想が良かった。)

(明るい茶色の肩ほどの髪は、頬を包み。 丸みを帯びて、
穏やかな真紀に似合っていた。)

(重要研究施設に似つかわしくなく、可愛らしいラフな靴を履いている。)

(白衣であることと、胸元のワッペンに、National Biotechnology Laboratoryの
紋章があることで、職員の一人なのだと分かる。)

「・・知らん。」

「白衣は好かん。」

(艶は、真紀を思い出したが、知らないふりをした。)

『彩の助手か・・。 白衣を見ると、調子がくるう。』

「艶さん、ここで留守番ですか?」

「もしかして、一緒に来たの、剛さん?

邪魔しちゃいけないですものね。 ふふっ。」

(真紀は明るく笑った。)

「ふんっ、わらわはここに用はない。 ついでじゃ。」



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