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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】
Chapter12 『届いた物』 12-1
「よっ!」
(セキュリティー扉を抜け。 剛が本棟の中心部、研究室に入って来た。)
「ごくろうさん。」
(剛は、周りの研究員に声をかけたが、僅かに頷いただけで、誰も言葉を返さなかった。)
「あら。」
(円形の研究室の真ん中、ガラス張りの無菌室の中で。
巨大な顕微鏡を覗いていた彩は、片手を上げ合図した剛に気づき、目を上げた。)
「剛! 来てくれたの。 早かったわね。」
(白衣に身を包み、鮮やかに色づく、ピンク色にカールした髪を、横に高く。
ポニーテールに束ね。 耳元の銀のピアスに、赤いネイルが華やかだった。)
(すらりと長い脚に、赤いヒールの軽やかな音。)
(彩は、顕微鏡や機器を手早く身の回りから外し、二重ガラスの、無菌室の扉を開け、
剛のいる部屋に出た。)
「おぅ、彩。 これから、他に行くところがあるんだ。
聖は遅刻するつもりで、代わりに俺が活動許可書を届けにゃいかん。」
「まぁ。 くすくすっ。」
「それから、これが、千波からの差し入れだ。」
ドサッ
(剛は、リュックを手近なテーブルに置いた。)
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