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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter12 『届いた物』 12-2


(周りの研究員たちは、眉をひそめた。)

「ありがとう。 まだ食事してないの。 千波ちゃんの手料理美味しいのよね。」

(彩は、構わず、剛に微笑んだ。)

「ん〜っ、良い匂い。」

「これが、本題だ。」

キンッ

(剛は、大きな上着の胸ポケットから、皮手袋の手で、光る欠片を取りだした。)

(差し出す剛の皮手袋には、FOT No.9と刻印されている。)

(手の中で、繊細に光る、ダイヤモンドの様な欠片は、
とても美しかった。)

「時の欠片・・。」

(剛に無関心だった、女性研究員の一人が、思わず声を出した。)

「今度の街のものは、輝きが増していますね。」

(男性研究員も、感心して見つめた。)

「ありがとう、さっそく分析するわ。」

(彩は、研究員たちの視線から、外すように。 素早く欠片を受け取り、
二重ガラスの無菌室へ続く、扉に手をかけた。)

「見てみる? 中へ入って。」

(彩は、剛へ振り返り、微笑んだ。)



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