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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter12 『届いた物』 12-5


「ふぅん。 良くわからんな。 確かにきれいだが。

ガラス玉にしか、見えんな。」

「んもぅ、甲斐の無い人ね。」

(彩は、言葉で怒ったが、顔は微笑んでいた。)

チリッ

「もっと、良く見てみたら?」

(彩は、ますます剛に近づいた。
彩の胸元から、銀の十字架のアクセサリーが揺れた。)

「ん? 俺は、もう良いよ。」

(太陽を浴び、血色の良い剛の頬に、触れるほど近づいたところで、
剛は、気づき、彩を止めた。)

「その辺にしといてくれ先生。」

「声は、向こうに聞こえねえだろうけど、

見ての通り、ガラス張りだ。 全員見てる。」

(彩はキス寸前で思いとどまり、研究室側へ振り返った。)

(研究員が、全員こちらを注視していた。)

「あら、照れてるの?」

(彩は微笑んだ。)

「あのな・・。」



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